2009年9月27日日曜日

「古事記 (上) 全訳注」


10年以上前に買った本だが、今日たまたま本棚から発見。パラパラと眺めてみると当時の感想がよみがえってきた。

わが国の歴史研究者の、実に切ない知的水準がわかる駄本。

著者によれば、因幡の白兎と似たような筋の説話がインドネシアや東インド方面にもある。それをもって「兎とワニの話が、インドネシア方面から伝わってきた動物説話であることは、明らかである」(p.113)。

おい。古事記ができた6世紀以前に、どうやってインドネシアと行き来できてたんだよ。てか、よくわからないけど、仮に民衆レベルの行き来がその時代にあったとして、逆にインドネシアの説話がむしろ日本産であるっていう可能性はないのかよ。

なんだかそういう、「とりあえず言ってみた」という感じのふざけた解説が切ない。更に、神代の国造りの物語の生々しい人間的色彩を、よくここまで無味乾燥に訳せたなと思わせる現代語訳が切ない。

と、ここまで書いたところで、Amazonその他の書評を見てみると、切なさ倍増。「日本人なら基本だよね」みたいな、お前ぜったい読んでねえなというのがバレバレな皮相な文章ばかり。歴史研究者にヤヴァイ人が多いのは知っていたが、読者がこれではどうにもならん。

すまんがごみ箱送りにした。
(本稿初出 2007/07/15。)


★☆☆☆☆ 古事記 (上) 全訳注
  • 次田真幸
  • 講談社学術文庫
  • 1977

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