本書は基本的に、忙しいエグゼクティブに自分の言いたいことを伝えるための基本技法についての教科書と言える。最近では本書のスタイルが業界標準になってしまっているので、これに従わないプレゼンテーションは、よほど画期的なものでない限り、最初にネガティブイメージを与えてしまうことが多いことに注意が必要である。
本書で書かれていることは、たとえば、結論を最初に提示し、「なぜならば」、という形で根拠を述べよ、と言うような、ある意味当たり前のことである。しかし普通の人は、自分の思考の順番に資料を作るのが一番自然だと思う傾向にあり、本書で推薦するようなスタイルには抵抗を感じる向きもあるかもしれない。しかし考えてみれば、自分の思考の順番を聴衆すべてが自然と思うとは限らないのである。だとしたら、最初に到達点を示すのが親切というものである。
熟読してどうこうというよりは、これまで自分の奉じてきた思考表現スタイルと、コンサルティング業界での標準的スタイルとの対比を眺める、という程度に使うエンタメ本と考えれば、「仮説思考」同様悪くない本だと思う。
★★★☆☆ 考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則
- バーバラ ミント (著), Barbara Minto (原著), 山崎 康司 (翻訳),
- 単行本: 289ページ
- 出版社: ダイヤモンド社; 新版版 (1999/03)
- 発売日: 1999/03
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