内容は、副題にある通り、オトコに頼らずがんばって生きて行こう、自分で自分をプロデュースしましょう、という、まあ、お気楽OLならば心に引っかかるかもしれないもので、私としてはコメントのしようがない。インディというのはインディペンデントから取った造語で、経済的自立、自慢できる夫または恋人の存在、いい女として年を取る、などの条件を満たす女性だそうな。一方、ウェンディというのが、女をウリにして男に依存して生きてゆく旧型女性の象徴である由。
私の想像が正しければ、勝間氏の脳内構造は理系男子と本質的に同一であるように思うのだが、本書には、おそらくは「ムギ畑」という、働く母親たちのためのサイトを運営する過程で培ったであろう「女子操縦術」(?)のような技巧が存分にちりばめられていて飽きさせない。婚期を逃しつつある理系男子への恋愛指南書として推薦したいくらいである。
たとえば、経済的自立の目安として、唐突に「年収600万円以上を稼げる女であること 」というのが出てくるのだが、このあたりの豪快な論理展開に実に感心した。想定する読者から共感を得られそうな題材について歯切れよく言葉を並べて、自分の土俵にある程度引き込んだ後に、「年収600万以上」のように豪快に断定をかます。これで大方の女子は、「なんかよくわかんないけど納得!」と思ってくれるようだ。しかもお気楽系女子ばかりでなく、理論派高学歴女子の鑑賞にも堪える程度に、論旨を練ってデータを用意しているところがすごい。さすがコンサルタントとして揉まれただけのことはある。
ちなみに勝間氏は、最近、35歳独身限界説というのを提唱して物議をかもしているが、「35歳」という数字に真剣に反応してしまっているイタい人が結構いるのには驚く。「35歳」とか「600万」とかはただの記号、もしくはシャレであって、それ自体を突っ込んでも仕方ない。言ってみれば、論理と非論理の境目には、ある種の「言ったもん勝ち」の世界があって、そこでしれっと涼しい顔で、何か断定的なことを言ってみせるのがコンサルティングビジネスの、まあ本質である。そして、「自己啓発」みたいなロジカルにも精神論にも転びうるテーマをそれに絡めて、広大なマーケットを開拓した点が勝間氏の不朽の業績である。私のような割と奥床しい人間にはできない芸当で、お見事というしかない。勝間氏のある意味での首尾一貫性を知る上での必須の本である。
インディでいこう!
- ムギ(勝間 和代) (著)
- 単行本: 207ページ
- 出版社: ディスカヴァー・トゥエンティワン (2006/1/18)
- 言語 日本語
- ISBN-10: 4887594429
- ISBN-13: 978-4887594425
- 発売日: 2006/1/18
同内容の本が別タイトルで最近出版されている。
勝間和代のインディペンデントな生き方 実践ガイド (ディスカヴァー携書 022)
- 勝間 和代 (著)
- 新書: 216ページ
- 出版社: ディスカヴァー・トゥエンティワン (2008/3/1)
- 言語 日本語
- ISBN-10: 488759626X
- ISBN-13: 978-4887596269
- 発売日: 2008/3/1
0 件のコメント:
コメントを投稿