トラックポイント付きキーボードの歴史は実は長く、鍵人というサイトで昔さんざん議論したことだが、1990年代前半から、日本語キーボードとしてはたとえば5576-C01、英語版だとこちらにあるような多くの機種が知られている。歴史的に見れば本機はその延長線上にある最新機種といった位置づけになる。
むろん、質感の観点では、座屈ばね機構を備えた古き良き高級機の足元にも及ばないことは明らかで、その意味で最初から使い捨て程度の認識であった。が、触ってみて感心した。この値段で、ドライバを含めたこのクオリティは立派である。
トラックポイント付きのような「特殊」なキーボードではしばしばドライバーの不適合が起こる。本機はキーボードの刷新と共にドライバーも改良がなされたようで、こちらから取得したドライバをインストールすることで、ThinkPadはもちろんPCにおいてもスクロールボタンなどの基本機能が問題なく動作する。私の場合PC切り替え器を使っているのだが、PC切り替え器を介してもセンターボタンが完全に動作したのには驚いた。
本機は、ウルトラナビ付きの、Lenovo ThinkPlus USBトラベルキーボード 31P9490 の後継として作られたものである。このキーボードの評判は悪かった。実は私も持っていたのだが、タッチパッド下のボタンを押すたびにギシギシ音がして耐え難く、何より本質的な問題は、タイプ時に取りこぼしが多発することである。これはその筋で国際的に有名な話で、どうやらある時期まで、欠陥製品が製造されていたようである。
私としてはこれがレノボか、と一瞬思っただけで、落胆すらしなかったのだが、レノボには骨のあるエンジニアがまだ残っていたらしい。本機は、取りこぼしのような基本的すぎる性能について問題ないのはもちろん、この軽さにしては全体的にしっとり感のある丁寧なつくりで好感が持てる。ドライバについての着実な改良もすばらしい。今のThinkPadの打鍵感が嫌いでなければ、確実に有用なキーボードとなろう。理想を言えば、鉄板を底に入れるなどして、ThinkPad 600シリーズのような剛性を達成してくれれば完璧だと思われるが、昨今の状況ではこれ以上の価格にするのは難しいのだろう。
以下、読者の便宜のため、細かい参考情報を載せる。
- ThinkPadとの接続
- ThinkPadの外付けキーボードとして本機は最適である。夏など、特にXシリーズはパームレスト部が熱くなり不快であるが、その場合、本機と外付けディスプレイを買えば圧倒的に快適な作業環境を実現できる(新しい機種はDisplayPort経由でディスプレイにデジタル接続もできるので、視認品質が下がることはなない)。
- ThinkVintageボタン、ボリュームボタン、マイクOn/Offボタン、音声Offボタンのすべてが動作するので、ThinkPadを使っているのとまったく変わらない作業環境が達成できる。
- なお、当然ながら、ThinkPad以外のPCではボリュームボタン等は動作しない。
- スクロールボタンの機能制限
- 現在のところ、リモートデスクトップ接続だとスクロールボタンが使えない模様である。ThinkPadにおいては、tp4table.dat の修正などのTipsがよく知られているが、本機に関しては適用不可能のようである。リモート接続を多用される方は注意されたい。
- 打鍵感
- おおむね最近のThinkPadに準ずる。薄く、軽いため、強く叩くと指に不快な揺れを残す。往年のModel M等とは比べようもないが、それでもこの軽さにしてはバランスよく作られており、ゴム足のダンパ機能も優秀である。
レノボ・ジャパン ThinkPad USB トラックポイントキーボード(英語) 55Y9003
- 概要
- トラックポイント付き
- Fnホットキー付き
- Volume Up/Downキー、Volume Muteキー、Microphone Muteキーあり
- キーボードの角度調整可能
- 一般
- 製品番号 55Y9003
- 商品名 ThinkPad USB トラックポイントキーボード(英語)
- ダイレクト価格: ¥6,300 (税込)*
- キャンペーン価格: ¥5,796 (税込)*
- 保証期間 3 年
- 奥行き 19 mm
- 高さ 312.8 mm
- 幅 220 mm
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