米国の国民的学園コメディ映画。2014年12月時点で、amazon.comでは5095件もの評価がついており、そのうち実に95%が5つ星になっている。これほどのレビュー数を集めながら圧倒的な好評になっている映画は、最近だとおそらくFrozen(邦題「アナと雪の女王」)くらいなもので、Frozenが巨額の制作費を使った家族向けの映画だということを思うと、この映画への支持ぶりが際立つ。
映画の脚本を書いたのはアメリカで非常に人気のある女性コメディアンのティナ・フェイである。原題は「いじわるな女の子」の意味で、女子高生同士の陰湿な足の引っ張り合いがテーマなのだが、リアリティを失わない絶妙な範囲で笑える映画に仕上げられつつ、日常でズバッと使える決め台詞にあふれ、ネット上ではほとんど箴言集の扱いだ。
2004年の公開から10周年ということで、多くの米メディアで記念特集が組まれた。主なセリフのほとんどすべての動画シーンがYouTubeに投稿されており、Urban DictionaryではBest movie ever made と絶賛されている。若者文化内のみならず、昨年は、ホワイトハウスがこの映画のせりふをもじったツイートをして話題になったほどである。使ったのは、映画の舞台となった高校で女王として君臨するレジーナが、その手下のグレッチェンに言い放った次のセリフだ。
映画の脚本を書いたのはアメリカで非常に人気のある女性コメディアンのティナ・フェイである。原題は「いじわるな女の子」の意味で、女子高生同士の陰湿な足の引っ張り合いがテーマなのだが、リアリティを失わない絶妙な範囲で笑える映画に仕上げられつつ、日常でズバッと使える決め台詞にあふれ、ネット上ではほとんど箴言集の扱いだ。
2004年の公開から10周年ということで、多くの米メディアで記念特集が組まれた。主なセリフのほとんどすべての動画シーンがYouTubeに投稿されており、Urban DictionaryではBest movie ever made と絶賛されている。若者文化内のみならず、昨年は、ホワイトハウスがこの映画のせりふをもじったツイートをして話題になったほどである。使ったのは、映画の舞台となった高校で女王として君臨するレジーナが、その手下のグレッチェンに言い放った次のセリフだ。
Gretchen, stop trying to make 'fetch' happen! It's not going to happen!
(グレッチェン、何でも「fetch」って言うのはやめて。二度と聞きたくない。)
ホワイトハウスの方のfetchはボールを取ってくるという意味だが、映画の中での"Fetch"は、冒頭でグレッチェンが説明するとおりCoolのような意味であるらしい。ちなみにこのレジーナは、名作"The Notebook"(邦題: きみに読む物語)で上流階級の娘を演じたレイチェル・マクアダムスある。
脚本を書いたティナ・フェイはその後、おそらく世界でもっとも成功した脚本家兼女優となった。その他、リジー・キャプラン Lizzy Caplan、レイシー・シャベール Lacey Chabert、アマンダ・サイフリッド Amanda Seyfriedなど、その後の主役級の俳優が多く出演している。個人的には、アマンダのおバカキャラの演技がツボだ。
脚本を書いたティナ・フェイはその後、おそらく世界でもっとも成功した脚本家兼女優となった。その他、リジー・キャプラン Lizzy Caplan、レイシー・シャベール Lacey Chabert、アマンダ・サイフリッド Amanda Seyfriedなど、その後の主役級の俳優が多く出演している。個人的には、アマンダのおバカキャラの演技がツボだ。
話は、レジーナ率いる女子グループが書いたBurn Bookという陰口ノートを中心に進んでゆく。アフリカから来た純真な16歳の主人公ケイディーは、入学早々女王レジーナに気に入られ、彼女のグループに入れられる。レジーナは、ケイディーが自分の元彼を気に入っていることを知ると、召使いに自分の力を見せ付けるかのごとくケイディーの目の前で元彼を誘惑する。それに怒ったケイディーは、表面上は恭順の意を表しながらも、ジャニスという友達と一緒にレジーナに復讐する策略をめぐらせる。策略に気づいたレジーナに報復を受けたケイディーは、一連の混乱の主犯として断罪され、自宅謹慎を命ぜられる。わずかに外出を許された数学クラブのコンテストで、他人についてあれこれ言っても結局前には進めない、自分のやるべきことをやるしかないのだと気づく。終業式の日の学園女王コンテストで、半ばイジメのようにしてクイーンに選ばれてしまったケイディーは、受け取ったティアラを壇上で細かく割り、それを皆に配ることで、友達同士を貶めあう行為の愚かさを皆に伝える。
やたら人が死んだり病気になったり、あるいは急にスターになったりのような「劇的な」作為は何もなく、すべてが日常の中の物語だ。日常であるがゆえに、ティナ・フェイによる練られた台詞それ自体が、アメリカ人の心に長くとどまる結果となったのだろう。米国での圧倒的に人気にもかかわらず、日本ではこの映画はあまり宣伝もされず、知られることもなかった。その由来を考えるのは興味深い。
主人公のケイディーは、女王レジーナに初めて謁見した時、かわいいわね、と言われて、ありがとう、と答えてしまうというミスを犯す。
主人公のケイディーは、女王レジーナに初めて謁見した時、かわいいわね、と言われて、ありがとう、と答えてしまうというミスを犯す。
But you're, like, really pretty.
- Thank you.
So you agree.
- What?
You think you're really pretty.
- Oh, I don't know...
これはまるで京都人との会話のようである。こういう「日本人的な」陰湿なやりとりに加えて、われわれが自国の病理をあげつらう際によく使われるような場面が数多くこの映画には埋め込まれている。学生たちの仲間グループはおおむね人種ごとに別れ、おしなべて排他的だ。仲間に入れないとトイレで隠れて昼食をとるしかない。こういう、排他的で、大小無数の政治的いさかいにあふれた世界は、日本人が思う妙に美化されたアメリカ人についての固定観念、たとえばフェアな競争を尊ぶオープンな実力主義の社会、とはまるで似ていない。しかしそれが現実なのだ。アメリカ人の日常に寄り添っていたがゆえにこの映画はアメリカでは古典となった。しかしむしろそれがゆえに日本では売られることはなかったのだとしたら、この映画はむしろ日本人の自画像のゆがみを逆照射する作品であるのかもしれない。
(アメリカのスーパーで購入したWidescreen版のDVDで視聴)
- Directors: Mark Waters
- Writers: Tina Fey, Rosalind Wiseman
- Producers: Jennifer Guinier, Jill Sobel Messick, Lorne Michaels, Louise Rosner, Tony Shimkin
- Format: Multiple Formats, Anamorphic, Collector's Edition, Color, Dolby, NTSC, Special Edition, Subtitled, Widescreen
- Language: English (Dolby Digital 2.0 Surround), English (Dolby Digital 5.1), French (Dolby Digital 5.1)
- Subtitles: English, Spanish
- Region: Region 1 (U.S. and Canada only. Read more about DVD formats.)
- Aspect Ratio: 1.85:1
- Number of discs: 1
- Rated: PG-13 (Parental Guidance Suggested)
- Studio: Paramount
- DVD Release Date: September 21, 2004
- Run Time: 97 minutes
- Average Customer Review: 4.9 out of 5 stars See all reviews (5,096 customer reviews)
- ASIN: B0002IQJ8W
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