2020年11月11日水曜日

Evernote から OneNote に移行

OneNote のスクリーンショット。Microsoft のウェブサイトから。

査読する論文の管理やら、記事の切り抜き的な用途やら、家のこまごました処理やらのためにEvernoteという情報集約ソフトをもう10年以上便利に使っていたのですが、このたび、Microsoft のOneNote (for Windows 10) に移行することにしました。

Evernoteの最新のアップデート(Version 10)が壮絶な改悪で、私のラップトップ(ThinkPad P52というハイエンド機)でノートを開くだけでメモリは1GB以上、CPUは20%くらい食うという状態で、反応も遅く、もう好き嫌いがどうかというレベルを超えて、使用に耐えぬ状態になりました。その上、ユーザーが調節できる設定機能を全廃してしまったんですよね。実際、Wikipediaによれば(2020/11/11現在)
Evernote version 10 is a complete re-write of desktop clients. It removed almost all preferences and so possibility to adjust application to user needs. 

ということです。ここまでひどいソフトウェアアップデートは初めてです。おかげさまで、長らくプレミアム会員としてEvernoteにロックインされていた私の仕事スタイルを見直す勇気をいただけてありがとうという感じではあります。

私の場合、典型的なEvernoteの使い方は、例えば査読メモ用としては

  • 論文なりのpdfをページに貼る。
  • 重要な式とかグラフとかをキャプチャしてページに貼り、その下に主に日本語でコメントを書く。
  • 箇条書きや色分け、リンクなどのリッチテキスト機能を多用する
という感じでした。その他にも、旅行の計画とか、車やらの修理の記録など。ファイル添付とリッチテキスト編集、クラウドでの情報統一管理は必須で、これを完全にできる情報集約ソフトって案外ないんですよね。長い間Lotus Notesが唯一の選択肢でしたが、Evernoteの方が圧倒的に便利で、2010年以来10年間もプレミアム会員となっていた次第です。

私はOffice 365のライセンスに毎年お金を払っているので、ノートブックはOneDriveに1TBまで追加料金なしに置いておけます。単純にEvernoteに払っていたプレミアム会員代の $75がなくなるだけ。よいことばかりに思えましたが、ひとつ不安は、うまく情報を移せるかということでした。査読論文にしてももう何百篇にもなっているので、移行が不安でしたが、幸い、マイクロソフトがよくできた移行ツールを作ってくれており、ほとんど問題なく移行できました。

重要なTipsとしては、こちらにある通り、ノートブックごとにファイルとして書き出し、それをインポートするということ。当初私は複数のノートブックを一気に移そうとしたのですがうまく行かず、手間はかかりますが、ノートブックごとに手作業でインポートした次第。その結果、サイズがおおむね25MB以上のノートは失敗する確率が高そうでしたが、99%は移行に成功。張り付けた画像もリンクも箇条書きもほぼそのまま移行でき、非常に助かりました。失敗したページは手作業で移せば問題なし。また、インポートをやり直す場合、OneDriveに行って該当するファイルを削除すれば完全にUndoできますので、失敗しても問題なし。

OneNoteには 
  • OneNote for Windows 10 
  • OneNote 2016
という独立なソフトがあり、前者が冒頭に貼ったものです。iPadなどでも同じインターフェイス。後者は古いタブベースのUIで、左右にノートのリストが分離している、ノートのソートができない(!)など不可解な仕様で、これまで避けてきたのですが、OneNote for Windows 10  についてはとても美しいインターフェイスになっていて、反応が遅いこと、検索機能がショボいことなど細かい問題はあるにせよ、代替としてはおおむね満足です。

Evernoteは、卓抜なアイディアによるクラウドストレジの雄として敬意を持っていただけに、ゴタゴタ続きの最近の様子は残念でなりません。このままだと消え去る運命でしょうか。逆に言えば、老舗企業であるMicrosoftが、こういう若いスタートアップとガチで勝負して寄り切れる活力を保持しているというのはすばらしいことです。



追加。今プレミアム会員の人は、期限切れを待たず今すぐ無料の「ベーシック」に変更しても、期限までプレミアム会員権を保持できます。データベースが削除されることもありません。変更の取り消しは簡単にできるようなので、Evernoteの最近の混乱ぶりから考えると、今すぐプレミアム契約をやめる(必要なら期限前に再度プレミアム会員に戻る)のがおすすめ。健全な市場競争の促進は、善。

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