バーブラ・ストライサンドとロバート・レッドフォードの共演による名作。学生時代、テレビか何かで中途半端に見て、一度ちゃんと見たいとずっと思っていた。1000円でDVDが買えるとはいい時代になったものである。
理想主義者のケイティー(バーブラ・ストライサンド)は学生時代から政治活動に没頭していた。生真面目な彼女は文学の愛好者でもあったが、 キャンパスでも勉強しているそぶりすら見せなかったスポーツマンのハベル(ロバート・レッドフォード)が、すばらしい短編を文学創作の授業で提出したことを知り衝撃を受ける。女子学生憧れの的のハベルのノンポリぶりに時折いらだちつつも、ケイティーは彼の才能に惹かれてゆく。
卒業後偶然の出会いを果たした時、彼女は自分の家でハベルに一冊の本を見せる。それは出版社の目に留まり本となったハベルの短編であった。卒業後、彼女の中では、いつしかハベルは理想の人となっており、彼の成功をまるで自分のことのように思うようになっていた。ケイティーは彼の心を射止めることに情熱を燃やす。ハベルは彼女を当初は敬遠していたが、ケイティーが彼の才能の最良の理解者であることを悟り心を開く。
ケイティーは文学を追求すべきとの考えであったが妥協し、小説を映画のシナリオとして売るべく二人でハリウッドに行く。当初は当時の純文学の聖地フランスの文壇で勝負するとの考えをケイティーは捨てていなかったが、当座の成功と、それがもたらす豊かな生活に、人生最良の時をお互い楽しむ。
しかしまもなく戦後のマッカーシズムの嵐が二人の関係に少しずつ亀裂を生む。理不尽な査問にあくまで反対すべきというケイティー。青い理想主義は何にもならないと言うハベル。ケイティーは彼の成功のために、政治的な理想主義を降ろすことを決心するが、その頃には諍いに疲れ、また作家としても自信をなくしていたハベルが、学生時代の恋人キャロル(ロイス・チャイルズ)との関係を復活させていた。ケイティーは、自分の愛が結局彼を変えることができなかったことを悟る。彼女の理想の人ハベルは、現実には存在しなかったのだ。彼もまた、文学の理想をあきらめ、いわば商業主義に迎合した手っ取り早い成功の道を選ぶ。
別離の後、偶然二人はニューヨークのプラザホテルの前で会う。ケイティーは反核活動家としてビラをまき、ハベルはテレビのシナリオライターとして新しい妻とホテルに滞在していた。二人はお互いが、分かれた時と同じベクトルで、違う方向にそのまま進んでしまったことを認める。お互いの距離はもう埋められない。以前の楽しかった思い出は、もう思い出の中にしかない。「追憶のテーマ」が切なく流れ、映画は終わる。
青春の理想主義の切なさを、アメリカ映画らしからぬ哀愁に乗せて描く名作。
追憶 コレクターズ・エディション [DVD]
- バーブラ・ストライサンド (出演), ロバート・レッドフォード (出演), シドニー・ポラック (監督) | 形式: DVD
- 出演: バーブラ・ストライサンド, ロバート・レッドフォード, ブラッドフォード・ディルマン, ビベカ・リンドフォース
- 監督: シドニー・ポラック
- 形式: Color, Subtitled
- 言語 英語
- 字幕: 日本語
- リージョンコード: リージョン2
- ディスク枚数: 1
- 販売元: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
- DVD発売日: 2011/01/26
- 時間: 118 分
0 件のコメント:
コメントを投稿